20040627 シニア・スキー技術選で2連覇
『東京都スキー連盟 シニア・スキー技術選で2連覇!!』
小川昭彦
ゼッケン29番をつけて、スタート地点付近から勝負のバーンを見下ろした。 ネットで囲まれたバーンは広くて長い。DJの小野康成さんの声がスピーカーから響く。
第一種目は、ライン規制によるパラレルターン大回り。
前走は渡部三郎、石井俊一、小野塚喜保の3人。
いずれも、かっての「世界スキー指導者会議・日本代表デモ」だ。
会場の雰囲気が盛り上がり、スタート台に注目が集まる。
前走スタート。ライン規制がある。
「ターンの深さ・浅さ」「次のターンに入るポイント」「どんな体の動きをしているか?」
目を凝らす。
会場全体が華やいだ雰囲気と熱気に包まれている。
男子のゼッケン1番の、浦辻直選手からスタート開始。
ボクのスタートが、だんだん近づいてくる。緊張で体が固くなっていくのを感じる。
心の中で、二人の自分が会話する。
<何回もバッジテストの主任検定員をして、どんな滑りに点数を出した??
楽しそうな滑り、伸びやかな滑り、メリハリのある滑りだろ?
固くなっていたんじゃ、何も表現できないよ!!
ブロンズ像みたいな硬い滑りは禁物だよ・・・>
<このバーン設定で大回りをどう滑って表現すればいい?>
<スタンスはゴールまで広く。スタートからスピードに乗れよ。
ターンの切り換えの時の動きを丁寧に表現しろよな?
見せ場だぜ! フォールラインを向いている時間をできるだけ長く・・・
白河三枝さんに言われたろ?>
<判った、そのへんまでだ! たくさん言われてもできんから・・・>
スタート台に立った。意外に冷静沈着な自分が居た。
ゴール地点のフラッグが振られて、スタート。
小野DJのアナウンスが会場に響く。
「ゼッケン29番、タントスキークラブ 小川昭彦選手スタートしましたっ・・・!!」
ライン規制に注意だ。ネットに囲まれた広いバーンを一人で滑る快感!!
長淵 剛「乾杯」の唄の一節が頭に浮かぶ・・・♪♪ああー、青春の舞台に立ちーっ・・・♪♪
・・・・・ゴール。
第二種目は、エリア規制によるパラレルターン小回り。
3つのエリアを指定された順序で滑らねばならない。
スタート地点にあがった。また心の中で会話だ。
<どうする? 小回りは得意だろ?>
<ポジションを低めに構えてガンガンいけよ!!
両手首の位置は広めに。
斜面上部は、板を少しヅラして余裕のリズムで。
ゴールが近づいたら早めのリズムに切り替えて、切っていくイメージでどうだろ?>
<わかった・・・>
スタート。
3つのエリア規制をミスしないように、チェックしながら滑る。
板の反力を充分に感じることができた。トライアンは、やっぱり合っているかも?
・・・・・ゴール。
さすがに 菅平高原スキー場だ。 気温がかなり下がって寒い。
次のスタートまで時間があるので、暖をとりにレストランへ。
次の種目の戦略を考えながら、ホットミルクをゆっくり飲む。
第三種目は、パラレルターン フリー(総合滑降)。
また 心の中で会話する。
<さあ、思いっきりいくぞ!! ジャッジマンの目の玉をうんと動かす滑りをしよう。
ただ早ければいいってもんじゃないからな?>
<それだよ、ターンの切れ味を表現しろよな。
ポジションも前過ぎると、テールが流れるぞ!!
いい位置でな。あと、ゴール地点を丁寧に仕上げろよ?>
<わかった・・・>
点数は公開制なので、選手がゴールと同時に5人の審判が点数を出す。
上下の二人を カットして、3審判の合計を出して得点とする。
それを、DJがマイクにのせてギャラリーに知らせる。
今回は、ゲストジャッジに渡部三郎、石井俊一の二人が加わった。公明正大だ。
パラレルターン フリーも、無事におわって閉会式へ。
閉会式で、
渡部三郎(元)デモの講評。
「ターンでエッジを切りかえてから、重さをのせていく。その、のせ方を観ました・・・」
石井俊一(元)デモは、
「同じ目的をもって、多くの人が集まることがとても大事です・・・」
結果は、男子2組(年代別)で 同点で 第一位に。昨年に続いて、2年連続の優勝となった。
スキーは、技術追及だけが楽しむ内容ではないと思う。
しかし、何かの目的が無いと楽しみは半減してしまう。
ボクは、当面はこの「シニア・スキー技術選手権」に出場することを
自分に対するモチベーション(動機づけ)をアップする手段に使いたい。
あの素晴らしい緊張感を味わえるだけでも、嬉しいことだ。
来シーズンに向けて、自分との闘いがもう始まっている。