top of page

TANTO安全対策通信 Vol.2 Thu, 12 Dec 2002

 

川口 聖美

 

みなさん、こんにちは。タントスキークラブ安全対策担当者の川口です。 今週末はTANTO行事浅間2000ですね。 さて、前回は保険のお話でしたが、なにより1番大事なのは事故を起こさない事で す。 そこで今回は、これからシーズン中お世話になる道具の安全性のお話です。 しばしのおつきあいをお願いします。

 

 <道具の安全性>

今シーズンnewスキー板を購入した方も多いでしょう。板やビンディングの取扱説明書 ちゃーんと読みましたか?最近は用具の進歩によってその選択方法や使い道を間違え る ことで傷害が起こるケースが多いようです。

 

今回はビンディングの解放値の設定と前圧の調整の重要性について勉強しましょう。

購入したときについてくる取扱説明書ですが、ここ最近、解放強度調節の目安である チャート表がついてないことに気づきましたか?PL法施行以来載っていません。 ビンディングは国際規格によってその取り付け・調整方法が規定されていて、これに 従って正確に取り付け調整がなされなければなりません。これを間違えると傷害を 引き起こす原因になりうるということです。

 

ビンディングが唯一守ることができるもの、それは「脛骨(けいこつ)」です。 最近のビンディングは非常に良くできていて、誤解放などという言葉はあてはまりま せん。

ビンディングはトウピースとヒールピースのパーツがありますが、転倒時の解放の 90%以上がトウピースによる解放です。 トウピースは脛骨のねじれ方向への解放で、ヒールピースは脛骨の曲げ方向への解放 を司っています。 脛骨はねじれ方向への力には非常に弱く、体重の1/3程度の力が加わると折れて しまいます。しかし曲げ方向には比較的強く、体重の3倍程度の力が加わらないと 折れません。 もし、滑走中でもビンディングがはずれたら、それだけの力がビンディングにかかっ て いたということです。検定中にはずれて「このビンディングやってらんねーよ!」 なんて言ってる人たまーにみかけません?大間違いです。はずれていなければ、骨が 折れてたんですねえ。つまりビンディングは「はずれてこそ価値がある!」という ことです。

 

ビンディングのパーツの役割は以下の通りです。

 

トウピース
横方向への解放:脛骨を基準に解放力を設定。→これが解放値の設定
上方向への解放:膝の靱帯の損傷を軽減するためのシステム。解放力は設定できない。
       (靱帯が切れたりのびた後にはずれるのがほとんど)

ヒールピース
解放バネの役割:ブーツを上から下へ押さえる力。
前圧バネの役割:ブーツを後ろから前へ押す力。設定によってトウピースの解放に影響が出る。→これが前圧の調整

さて、冒頭に書きましたが、ビンディングの取り付け・調整はメーカー開催の講習を 受けた販売店、スキースクール、チューンナップショップなどが規格にそって行いま す。

販売店で自己申告で解放値を設定してもらった場合、ワークショップチケットには、 規格では**だが、客の要望により解放値を**に設定と明記され、事故の場合の 責任は購入者本人にあるということになります。つまり素人は触るな!です。 ちなみに、事故で訴訟が起きた事例でメーカーが負けたことはないそうです。その ほとんどが、ワークショップチケットの記載不備による販売店と購入者間の訴訟と なっているみたいです。そんな時、スキーに一番うといのは、弁護士と裁判官です・ ・・

 

みなさん、信頼できるショップで正しい取り付けと調整をしてもらいましょう。

うーん、また長文メールになってしまいましたが、お役に立てたと思います。
では安全第一(^^)vゲレンデで笑顔でお会いしましょう。

 

bottom of page